一般に、慢性の便秘・便が硬くて出ない便秘・高齢者の便秘などには、

「潤腸湯」(じゅんちょうとう)や「麻子仁丸」(ましにんがん)が有効とされています。

では、潤腸湯や麻子仁丸は、どのような作用で便秘に効いてくれるのか、

また、潤腸湯と麻子仁丸はどう違うのかについてまとめます。

似ているようで実は、潤腸湯と麻子仁丸には大きな違いがございます。

使う目標が異なっていることが分かります。

 

「麻子仁丸」と「潤腸湯」の生薬を比較します。

「麻子仁丸」(ましにんがん)の構成は

大黄・麻子仁枳実・厚朴・杏仁・芍薬の6種類の生薬です。

当然ですが、麻子仁という生薬が配合される漢方薬です。

 

「潤腸湯」(じゅんちょうとう)は、その名前の通り、

腸を潤して、便を軟らかくするという意味で、それによって便の動きをよくして、排便を助ける漢方薬です。

その構成生薬は、

大黄・麻子仁・枳実・厚朴・杏仁・桃仁・当帰・地黄・黄芩・甘草

 

下線部は共通の生薬です。

よって、「麻子仁丸」の中の芍薬以外の生薬は、「潤腸湯」にも配合されているわけです。

混乱しそうですが、潤腸湯にも麻子仁は配合されています。

 

さらに少し補足しますと、(大黄・枳実・厚朴)の3つで「小承気湯」という方剤になります。

この小承気湯(大黄・枳実・厚朴)は、「大承気湯」や「通導散」そして「潤腸湯」「麻子仁丸」などに共通して組み込まれてます。

胃腸の蠕動運動を高めるためのベースになっている配合です。

食物が腹部に停滞しているのを解消し、つかえや、腹部膨満感を除きます。

 

 

麻子仁・杏仁の「仁」の効果

「仁」と付く生薬は、種子を表しています。

ご存知の通り、菜種であったりゴマだったり、植物の種には油分が豊富に含まれています。

よって麻子仁・杏仁などをダブルで配合すれば、その油分によって腸の中の乾燥を防ぐとともに、潤滑油の働きで、便がよりスムーズに動きます。

 

潤腸湯の特徴

潤腸湯の特徴として、

麻子仁丸の、麻子仁・杏仁のみならず、さらに桃仁が加わります。

「仁」がトリプルです。

しかも当帰・地黄という体に潤いを与える生薬(補血薬)もたくさん配合されています。

 

麻子仁・杏仁・桃仁 → 腸に潤いを与え、

当帰・地黄 → 「血」を補い、

桃仁 → 駆瘀血作用で胃腸への血の流れを改善し、

大黄・厚朴・枳実 → 蠕動運動を促進し

黄芩(・大黄) → 腸管の熱を除く

そんなこんなで、総合的にはたらいて便通が改善します。

乾燥によって腸内には熱がこもり、潤いがなくなっていることで生じる便秘に使える漢方です。

 

まとめ

「麻子仁丸」の処方構成は、

「蠕動運動を高める生薬」+「腸内を潤す生薬」で構成されています。

つまり「麻子仁丸」はどちらかと言えば、単に便通を改善することに重点を置いている漢方薬です。

 

それに対して

潤腸湯の方は、麻子仁丸に比べると、血虚や瘀血の改善の効果が加わります。

その代わりに、

潤腸湯には調和・緩和作用のある甘草が含まれているので、瀉下作用はややマイルドになります。

また、潤腸湯の大黄の配合量は、麻子仁丸より少なめです。

つまり「潤腸湯」は、瀉下作用はやや劣るけれど、血虚による潤いの低下に対して、便秘の原因の根本から同時に治すことを目標にした方剤になっています。

 

どちらも、慢性の便秘、高齢者の便秘、コロコロ便に使われることが多いですが、

体液が不足しやすい病後・産後・月経後などの便秘には「潤腸湯」の方が適します。

 

市販の潤腸湯、市販の麻子仁丸

ドラッグストアのコスモスには、「潤腸麻子仁丸」というややこしい名前の商品が売られています。

潤腸湯なのか、麻子仁丸なのか。

成分を見れば明らかですが、中身は正真正銘の「麻子仁丸」です。「潤腸湯」の要素は入っていません。

腸を潤す効果が期待できる麻子仁丸、略して「潤腸麻子仁丸」ということでしょう。

 

「麻子仁丸」については割と多くの商品が販売されていて、比較的簡単に購入することができると思います。

一方「潤腸湯」を市販用に販売してしているところは限れているようです。

エキス製剤だとこちら→一元製薬 潤腸湯(じゅんちょうとう)エキス顆粒500g【第2類医薬品】

煎じ薬だとこちら→潤腸湯(じゅんちょとう)30日分(30包)煎じ漢方薬

 

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