「六味地黄丸」(ろくみじおうがん)」、別名で「六味丸」は、腎陰虚証に対して使われる処方です。

六味地黄丸の特徴は、三補と三瀉の併用、「補瀉併用」で構成されていることにあります。

「補」とは、足りないものを補う作用、

「瀉」とは、多いもの・余分なものを除去する作用のことです。

3つの補

  • 補腎陰の「(熟)地黄」(ジオウ)
  • 補肝陰の「山茱萸」(サンシュユ)
  • 補脾の「山薬」(サンヤク)

3つの瀉

  • 瀉肝の「牡丹皮」(ボタンピ)
  • 瀉腎の「沢瀉」(タクシャ)
  • 瀉脾の「茯苓」(ブクリョウ)

で構成されています。

 

 

牡丹皮は、代表的な駆瘀血薬であり、また清熱涼血の作用で、陰虚による熱の症状(虚熱)を冷まします。

沢瀉は利水作用、

茯苓は健脾作用により、余分にあって停滞した水液を除去します。

補う薬とともに、これら瀉の薬を加えることで、

足りないものを補い過ぎて、気血が停滞してしまうことを防ぎます。

これにより、三補の効果をより高めていることになります。

また、単なる補薬でないことが、

長期間服用しても弊害の起こりにくい理由でもあります。

 

生薬の構成比率でみると

三補のうち「地黄」が、山茱萸と山薬の倍量も含まれ、

三瀉の薬は少なめです。

地黄:山茱萸:山薬:牡丹皮:沢瀉:茯苓=

8:4:4:3:3:3 となっています。

三補と三瀉の構成、というものの、

補の分量が多く、特に「補腎陰」の地黄に重きを置いています。

腎陰虚による、のぼせ、ほてり、口渇があるときに特に適する、ということになります。

 

また、六味地黄丸の適応証である「腎陰虚」とは、「腎精虚」を含んだものと考えられます。

腎精虚とは、骨・歯・脳・生殖などに必要な物質が、足りない状態です。

もともとは、乳幼児の発育不良に使われる処方でした。

いまでは、老化現象としての、

足腰の衰え、髪が抜ける、歯が抜ける、性欲が衰える、物忘れなどの症状に使われます。

 

使用するときの注意として、

補陰(滋陰)の薬は、消化しにくいものが多く、

特に地黄は、服用後に食欲不振、下痢、胃もたれ、膨満感が出ることがあります。胃腸の弱い人は、少量から始めた方がいいかもしれません。

また、カゼを引いたとき、邪気を追い出しにくくなるということで、

服用を一旦止めた方がいい、とされています。

 



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