まずは「八珍湯」(はっちんとう)

4+4=8です。

「八珍湯」(はっちんとう)は、

補血薬の基本方剤である「四物湯」(しもつとう)

補気薬の基本方剤である「四君子湯」(しくんしとう)とを合わせたものです。

「気」と「血」の両方が不足した状態、いわゆる「気血両虚」に対する薬です。

 

そして「十全大補湯」(じゅうぜんたいほとう)

8+2=10 ということで

その「八珍湯」に、黄耆と肉桂(桂皮)の2つを加えたものが「十全大補湯」(じゅうぜんたいほとう)になります。

 

その構成の通りですが、「八珍湯」に、補気の黄耆・補陽の桂皮が強化された処方です。

構成生薬は10種類になりますが

基本は「八珍湯」を含む構成であり、「気」と「血」を両方補う処方と考えることができます。

主には体力が消耗している状態のときに使います。

病後、術後、産後、強度の疲労で、体力が著しく消耗したときや、

慢性的に疲労倦怠感、食欲不振などがあるとき。

血虚の症状として、顔色が悪い、艶がない、皮膚の乾燥、または貧血などがみられるときに使われます。

(血虚の症状がないときは、「補中益気湯」(ほちゅうえっきとう)でもいいかもしれません。)

 

 

黄耆を加える意義

例えば、中医学の方剤に、「当帰補血湯」(とうきほけつとう)というのがあります。

血虚発熱に使う方剤です。

月経過多、出産、性器出血、外傷、手術などの

大量の出血があったことにより、

顔面紅潮、体表の熱感、発熱、口渇、頭痛などがみられる場合に用います。

興味深いのは、構成生薬とその割合です。

黄耆 30g  当帰 6g の2種類でできた方剤です。

黄耆は「気」を補う薬、当帰というのが四物湯に入っている「血」を養う薬です。

「当帰補血湯」という処方名で、当帰により補血するための処方であるのに明らかに黄耆の補気の割合が多いのです。

それは、この場合の黄耆は、(脾)気を補うためであるけれど

これがあってようやく当帰の養血作用が活きてくる、という論理であり

血を産生させるのは、まず気を充足させてからがよいのだ教えてくれています。

血の生じる源は脾胃である、

血の生成には、いかに脾胃の機能が重要か、ということです。

よって、気・血をともに補う「八珍湯」をさらに強化するために、黄耆を加えることは大きな意義があります。

 

桂皮もまた、気血を補う力を強める効果があります。

また、桂皮によって、気血両虚がすすんで生じた、さむけ、手足の冷えなど虚寒症状にも使えることになります。

 

最近では、「十全大補湯」は、抗がん剤の副作用対策としても使用頻度が増えています。

 

闘病中の寝汗について

闘病中の寝汗の訴えについて・・・
強い疲労で気が弱まると、血の生産が少なくなります
また手術などでも血を失います
通常、血が少なくなったときは、
肝臓に貯蔵されている血が、必要な部分に供給されますが
著しく急な血の不足では、肝の血も不足しています
肝から心への血の補給(滋陰)が減ることとなれば
相対的に心陽が増え、夜寝汗をかきやすくなる
という理論があります
この場合「十全大補湯」でも適応します。
(地黄・当帰・芍薬が肝血を補います。)

 

参考:図解漢方処方のトリセツ [ 川添和義 ]

 

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