痰飲(たんいん)

痰飲とは、「人体の水液の代謝になんらかの異常があり、津液が停滞している状態」をあらわします。

病理的な産物のことです。

 

血(けつ)や津液(しんえき)は、総称して陰液(いんえき)と呼ばれます。

陰液のうち「血」のめぐりがわるく、停滞してしまったのが「瘀血」(おけつ)で、

「津液」の方のめぐりがわるく、停滞して余った水液が蓄積すると「痰飲」(たんいん)です。

 

濁り具合からみると、

水液に少し粘りがでているがまださらっとして薄いものが「飲」で、

ねっとりとして濃いもの、濁っているものが「痰」です。

水が、→飲→痰と変化します。

 

「湿」(しつ)とは

似た言葉に「湿」があります。

「湿」も異常な水液のことですが、希薄なもので、性質としては気体のようでもあり、

「痰」(半個体に近い)のように所在が確定される状態ではないものです。

ただし、痰飲も痰湿もあまり区別されず使われているかもしれません。

 

 

有形の痰と、無形の痰

痰は、有形の痰と、無形の痰に分けられます。

有形の痰は、

気道から分泌され、咳とともに吐き出されたりする、いわゆる痰のことです。

無形の痰は、

臓腑や経絡中に停滞しているものを指します。

実質的に外からは見えませんが、原因不明の不調には無形の痰が関係していることが多いといわれます。

 

痰飲(特に無形の痰)は、病理的な産物というだけでなく、

直接的、間接的に臓腑や組織に影響して

あらたな病気をおこす原因(病因)ともなります。

 

あえて「痰」と「飲」を区別した場合、

「飲」は、食べたものや飲んだものが消化吸収されずに胃腸に停滞して生じたもの。

つまり、「飲」の発生源は主に胃腸にあると考えられます。

しかし、

「痰」となると、全身(五臓にも)どこにでも存在しうるものです。

 

めまい、吐き気・嘔吐、腹満

浮腫、関節痛、頭痛、胸痛

動悸、息切れ、のどの異物感

などは、痰飲から生じることが多い症状です。

 

「水液」が関係する臓腑

体内の水液は、ほぼ飲食物からの水に由来するわけですが、

摂取した水は、まず消化吸収され、

経脈中を流れて全身を潤し、

汗や呼吸、または尿となって出ていきます。

 

もしこれらの流れのどこかに問題があれば水が停滞してやがて痰飲になります。

水液の運行を臓腑に当てはめると、

消化吸収 ⇒ 「脾」や「胃」

汗や呼吸 ⇒ 「肺」

尿 ⇒ 「腎」や「膀胱」

であり、つまりこれらの臓腑の機能が悪いことで、余分な津液がたまりやすくなります。

 

機能(働き)がわるいことを「陽虚」ということができますが、

特に「脾」と「腎」の陽虚、は水液の運行に深く影響してきます。

 

また、ストレスなどにより「気」が滞ることによっても、

津液がスムーズに動かずに痰飲となりえます。

 

痰飲の存在する臓腑と症状

痰飲が生じることでさまざまな症状を引き起こすことになりますが、

例えば

痰飲が肺にあると喀痰や咳嗽、

痰飲が脾にあると身体が重い、

痰飲が胃にあると悪心や嘔吐、

痰飲が心にあると動悸や息切れ、

痰飲が心下部にあるとめまい、

など

痰飲のある場所により、みられる症状は異なってきます。

 

補足

痰飲については『金匱要略』の痰飲咳嗽篇に詳しく書かれています。
初めて読む人のための金匱要略ハンドブック [ 池田政一 ]

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