「血虚」(けっきょ)による痒み

高齢者の皮膚にみられるような、

皮脂(や汗)の分泌が減少して、乾燥し、

皮膚の保護機能が衰えた状態、

乾皮症と言ったり、

皮脂欠乏性湿疹と言ったり、

老人性皮膚掻痒症と言ったりしますが、

いずれも皮膚がカサカサとして、粉をふいたように白っぽくなり、痒くなって、

掻きむしってしまうと乾燥した皮膚がぽろぽろと落ちる、

このような状態を、漢方的には「血虚」とします。

この場合の血虚とは、「血」が皮膚を養えていない状態のことを指しています。

 

血虚により乾燥した皮膚は、本来の皮膚の機能が不十分で、

例えば防御機能が低下するため、

外からの刺激に対して過敏に痒みを起こしやいとか、

細菌が侵入しやすいとか、炎症を起こしやすいとか、考えられます。

 

 

「当帰飲子」(とうきいんし)

10種類の構成生薬を下のように分ければ、

当帰・川芎・芍薬・地黄・何首烏
黄耆・甘草
防風・荊芥・蒺藜子

ざっくりといってしまえば、

「血虚を改善するための薬」と「痒みを抑えるための薬」

で構成されていることになります。

まさに、血虚により発生する痒み、に対する方剤です。

 

当帰・川芎・芍薬・地黄の4つは、

補血の基本処方である、「四物湯」(しもつとう)

何首烏も、肝の血を増やす生薬です。

黄耆・甘草は、補気薬として入ります。

血を補うときには、それだけではなく、気を補っておくことで、

血の産生を増やしますし、

皮膚の保護(防衛)機能を補うことができます。

「十全大補湯」(じゅうぜんたいほとう)にも、「四物湯」+黄耆の組み合わせがみられます。)

 

防風・荊芥・蒺藜子は、痒みを抑える目的で配合されています。

防風・荊芥は、例えば、「清上防風湯」(せいじょうぼうふうとう)や「荊芥連翹湯」(けいがいれんぎょうとう)など、皮膚疾患に使われる漢方薬に共通して使われています。

 

というわけで「当帰飲子」は、血虚に使う「四物湯」を、皮膚の症状により適するように配合を加えた方剤です。

 

【第2類医薬品】ロート 当帰飲子錠 252錠

 

さいごに、下の2つは他の方剤ではあまり見慣れない生薬なので付け足しておきます。

何首烏(カシュウ):

タデ科ツルドクダミの塊根。
熟地黄や当帰と同じ「養血」の薬です。

蒺藜子(シツリシ)または白蒺藜(ビャクシツリ):

ハマビシ科ハマビシの未成熟果実。
体表からの刺激による痒みに使うのが防風・荊芥だとすれば
こちらは肝血の不足により発生する内からの湿疹・痒みに対する薬です。

 

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