小柴胡湯で和解する

外から、悪い邪気が体に侵入してきた際に、対処する方法としていくつかあります。

例えば、桂枝湯や葛根湯、麻黄湯などは、汗法といって、汗をかくことで体表の邪気を追い出します。

それから、今ではほとんど使われませんが、胃の中に悪いものがあれば、吐かせるという方法があります。

そして、腸に悪いものがれば、あえて下痢をさせて出してしまう、という方法があります。

 

「小柴胡湯」(しょうさいことう)は、どれとも違います。

和法(または和解法)という治療法です。

汗をかかせない、吐かせない、下痢をさせない方法です。

 

邪気が体の内部に少し侵入してきたとき、

むりやり邪気を追い出すのではなく、和解する手段をとり、

できるだけ最小限の被害だけで済むように調整し、悪いものに出て行ってもらう作戦です。

つまりは臓器の機能のバランスを調整していく処方構成になっています。

調和をとる意味の和法です。

その和法で使うもっとも基本となる処方が、小柴胡湯であります。

 

 

小柴胡湯を使う症状

「小柴胡湯」(しょうさいことう)は、風寒(ふうかん)の邪気が、体表から少し体の内部にまで侵入したときに使います。

このとき現れる症状は、、、

・悪寒と発熱をくりかえす(往来寒熱)
・または午後や夕方になると熱が上がってくる
・胸のあたりが苦しい
・喉が渇き、口が苦い
・悪心、吐き気があり、食欲がおちてくる

といった状態です。

『傷寒論』では少陽病の特徴です。

 

最も重要なのは、邪気と正気に闘いが起こり、熱が体表にあったり内部にあったりするために、悪寒を現したり発熱を現したり、これが交互に相乱れる状態であること。

(発熱と悪寒が同時であれば、邪気は体表にあります。)

体の抵抗力があると発熱→抵抗力が消耗すると発熱がなくなる→邪気により陽気の巡りが悪く、発熱がなくなれば悪寒→抵抗力が回復すると再び発熱→これを繰り返す。という具合です。

この熱の状態を半表半裏(はんぴょうはんり)の熱といいますが、この状態であることさえ見極められれば、(その他の症状すべてが当てはまらなくても)小柴胡湯が使える状態です。

 

症状の補足として

胸や脇のあたりが痛くなるのは、

邪気が少陽経の経絡に侵入して、経絡の流れを阻害しているから、と考えられています。

「胸脇苦満」と表現し、柴胡剤を使う目安になります。

また経絡の流れが悪いと、上半身に水が巡らず、口が渇くことになります。

さらに少陽経は胆を通るため、胆汁が熱とともに上がってきて、口が苦くなります。

胆の熱は、そばにある胃に影響して、胃の働きが悪くなるため悪心、吐き気、食欲不振が起こります。

 

生薬の配合からみる小柴胡湯の効能

「小柴胡湯」を構成生薬からみます。

構成は、柴胡・黄芩・人参・半夏・生姜・甘草・大棗です。

まず、柴胡と黄芩が、熱を冷まし炎症を抑える生薬として配合されています。

大棗、生姜で胃腸を温め、胃腸機能を改善し、食欲不振を治します。

さらに人参が少し加わり体力を補います。

半夏は胸の痞えをおろしたり、生姜とともに吐き気を抑えます。

また半夏は痰や咳をとる作用があります。炎症のある状態で温性の半夏を使っていますが、この場合、温熱性は黄芩の寒涼性で抑えられているようです。

発熱により、体力がおちて、胃腸も弱ってきたときに適する内容になっています。

 

小柴胡湯の注意点と補足

・よく小柴胡湯による間質性肺炎の副作用の問題が取り上げられますが、カゼのときに短期間だけ使用するのであればそれほど心配はいりません。

・しかし処方としては、乾かす作用があるため、特に高齢者に長期に使う場合は気を付けなければいけません。(陰虚、血虚には用いられません。)

・稀に黄芩でアレルギーを起こすことがあります。

・小柴胡湯は適応範囲が広く、他の方剤と併用することも多いですが、その時は、甘草の重複による副作用に注意して下さい。

・のどの炎症があり腫れて痛むときには、桔梗と石膏を加えた、「小柴胡湯加桔梗石膏」(しょうさいことうかききょうせっこう)が使われます。

 

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