甘草湯(かんぞうとう)と桔梗湯(ききょうとう)

つらい喉の痛みと腫れ、

漢方薬でその症状を軽減させたいときに用いられるのが、甘草湯と桔梗湯です。

2つの漢方薬の違いと、使い分け、効果的な飲み方、注意点(副作用)について説明します。

まず、

書くまでもないかもしれませんが、構成生薬について

甘草湯・・・甘草 (1種のみ)
桔梗湯・・・甘草+桔梗 (2種)

という、どちらもすごくシンプルな処方です。

つらい症状に即効的に効いて欲しいときには、このくらいシンプルな構成の漢方薬が適しているのです。

 

甘草湯も桔梗湯も3世紀初めに書かれた古典『傷寒論』(しょうかんろん)に登場する処方です。

『傷寒論』に書かれている使い方をその通りみれば、

「のどが痛いだけのときには、とりあえず甘草湯がよい。

甘草湯で治らない時には桔梗湯を与える。」

ということです。

 

 

甘草湯(かんぞうとう)の効果

通常のカゼにおいては、

悪寒や発熱などの症状を伴えば、その症状に応じて「葛根湯」など様々な漢方薬が用いられます。

そんな中で、「甘草湯」を用いるのは、悪寒も発熱もなく、ただノドが痛いというときです。

のど(咽頭)の腫れはないけれど、急に痛くなって困ったときです。

頭痛や発熱のあるときには使いません。

 

甘草は咽頭痛に適する薬というように書かれていますが、

「甘草湯」の効果は、当然そのまま甘草(カンゾウ)によるものであり、

なにもノドの痛みにしか効かないものではありません。

慢性的な痛みではなくて、急に起こった痛み(けいれん性疼痛)、軽度の炎症、

例えば、口内炎、胃の痛み、打撲の痛み、歯の痛み、痔の痛み、筋肉の痛みでも、使えなくはありません。

甘草(カンゾウ)には抗炎症、鎮痛、急迫的な症状の緩和といったはたらきがあるので、

対症療法的な、とりあえずの痛み止めとして使用できます。

が、実際には「甘草湯」を喉の痛み以外で、単独で使われることは少ないと思います。

一般的な鎮痛剤では胃を荒らしやすい人にも大丈夫ですし、

当然、眠くなる成分ではないので、車の運転をしなければいけない、仕事では集中力を途切れさせたくないとか、試験を控えてる受験生でも服用できます。

甘草というのは「甘い草」と書くだけあって、甘草湯の味もとても甘いので飲みやすいです。

※医療用エキス製剤ではクラシエのものがあります。(ツムラはありません)

※名前がよく似た漢方薬に「炙甘草湯」(しゃかんぞうとう)というものがあります。しかしこちらは生薬の構成も、効能効果も全く異なるものですので、ゼッタイに間違えないようにしてください。

 

桔梗湯(ききょうとう)の効果

「桔梗湯」は、甘草(カンゾウ)桔梗(キキョウ)とを合わせたものです。

桔梗には、消炎と排膿作用があります。

甘草湯を使用しても効果のない場合や、

例えば扁桃炎などのノドが腫れているとき、痰がよく出るとき、いがらっぽいときには、

甘草プラス桔梗の力も借りて、「桔梗湯」を使うことになります。

桔梗には鎮咳作用もあるので、咳が出て喉が痛いという場合も適します。

こちらも甘い味なので服用しやすいです。

※桔梗湯の医療用エキス製剤ではツムラのもの(138番)があります。(逆にクラシエはありません)

 

甘草湯でも桔梗湯でも効果がない場合・・・

早めに対処できて治まればいいですが、

数日経っても治まらないときは、やはり「小柴胡湯」なども必要になるかもしれません。

扁桃炎で、炎症が強くて、口渇感があるときには、桔梗にさらに石膏の力を借りることになります。

そのままですが「桔梗石膏」(ききょうせっこう)という薬があります。

「小柴胡湯」と合わせた、「小柴胡湯加桔梗石膏」なども考慮した方がいいでしょう。

排膿作用を増すために「排膿散及湯」が使われることもあるかもしれません。

いずれにしても、症状が改善しないときには、受診するなり専門家にご相談ください。

 

甘草湯と桔梗湯の効果的な飲み方

普通にいつもの薬と同じように服用してもいいのですが、より効果的なのは、

どちらも、口に含んでから直接患部(のど)に触れさせるようにゆっくりと飲み込むことです。

細粒の場合は、お湯で溶かしてからすこし冷まし、それを、うがいをするような感じで少しずつ喉に通していきます。

まあちょっと面倒です。

で、こういうときに市販薬の方が優れているなと感じるのですが、

容易に効果的な飲み方ができる、液剤タイプやトローチタイプがしっかり販売されているわけです。

実は、商品名が「桔梗湯」ではないので分かりにくいですが、↓も桔梗湯です。

ジキニンのどクリアは、これも見た目には分かりにくいですが、レモンライム味になっていて服用しやすいのです。

 

(補足・・・もし煎じ薬で作る場合は、甘草湯も桔梗湯も、消炎効果を期待していますから、甘草は、炙った甘草(炙甘草)ではなくて生甘草を使います)

 

甘草湯と桔梗湯の副作用

漢方薬で、甘草(カンゾウ)が配合されるものを長期間使うときには副作用の発現に気をつける必要があります。

特に、甘草湯も桔梗湯も、甘草の配合量が多いので注意が必要です。

(詳しくは→甘草による偽アルドステロン症について

基本的には連用するのは数日以内に留めておいてください。

手足のだるさ、しびれ、脱力感、筋肉痛、浮腫、血圧上昇があらわれたときは服用を中止すること。

また、もともと高血圧の人、心臓や腎臓に持病がある方、普段から浮腫(むくみ)のある人は、あらかじめ医師や薬剤師、登録販売者に相談してください。

すでに他の薬を服用していて、飲み合わせに心配のある方も、お尋ねください。

もう一度強調しますが、特に「甘草湯」の方は、甘草単味の薬なので、甘草の量が特別多いです。一度にたくさん服用し過ぎないようにしてください。

 

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