桂麻各半湯(けいまかくはんとう):KMK

桂枝湯」(けいしとう)と「麻黄湯」(まおうとう)を合方した処方です。

別称:「桂枝麻黄各半湯」

桂枝湯は、発汗作用の穏やかな薬です。

麻黄湯は、発汗作用のとても強い薬です。

桂枝湯も麻黄湯も、中医学では、ともに同じ辛温解表剤というグループに入る方剤で、辛くて温めるはたらきのある生薬を使って、体表から邪気を発散させる治療に用います。

発汗作用の強さの違いが一番の理由になりますが、

麻黄湯は、実証の方に使います。

桂枝湯は、虚証の方に使います。

逆に、虚証の方に麻黄湯を使うと、発汗しすぎて余計に体力を消耗します。

また、実証の方に桂枝湯を使うと、発汗させられず熱が下がりません。

そこで、

虚証でもなく実証でもない中間証の場合、

桂枝湯だと弱すぎる、麻黄湯だ強すぎる、というときに

そのあいだをとった処方が、「桂麻各半湯」(けいまかくはんとう)となります。

その名の通り、枝湯と黄湯を々、分ずつ1:1で混ぜ合わせたものです。

医療用エキス製剤は、東洋からのみ出されています。

 

 

桂麻各半湯の出典

傷寒論(3世紀)

桂麻各半湯を構成する生薬

  • 麻黄(マオウ)
  • 杏仁(キョウニン)
  • 甘草(カンゾウ)
  • 桂枝(ケイシ)
  • 芍薬(シャクヤク)
  • 大棗(タイソウ)
  • 生姜(ショウキョウ)

桂麻各半湯の効能・適応症状

カゼの初期の急性熱性症状(悪寒・悪風・発熱・頭痛など)

のどの痛い(チクチクする)カゼ、こじれたカゼ、感冒の発汗後に出る痒み

インフルエンザで自然発汗のあるとき

咳嗽、喘息

寒冷の刺激で出現する風寒型の蕁麻疹

湿疹、皮膚炎、風疹、麻疹、種々の皮膚掻痒症(赤くなる皮膚の痒み)

  • 保険適応外の症状を含みます。
  • 上記の症状に応用が可能という意味であり、すべての症状が桂麻各半湯で治せる、ということではありません。

桂麻各半湯の使用のポイント

桂枝湯が適する症状と、麻黄湯が適する症状が両方みられるときに使えます。

症状としては、麻黄湯が合うような咳・発熱・悪寒・関節痛(ふしぶしの痛み)があるけど、麻黄湯を使わなければいけないほどの強い症状でもない、というとき、

麻黄(マオウ)の配合量が半分ですので、発汗のし過ぎる恐れが弱まるため、使いやすい処方です。

痒みのあるときにも適します。(痒みの場合は、発熱や頭痛がなくても使われることがあります。)

桂枝湯:麻黄湯の割合は必ずしも1:1が良いというわけではありません。

エキス製剤の「桂麻各半湯」は使わずに、

発熱・悪寒の程度、発汗の程度に応じて、

「桂枝湯」と「麻黄湯」、それぞれの配合の割合を調整すればオリジナル処方を作ることができます。

例えば、「桂枝湯」と「麻黄湯」を2:1で配合すると「桂枝二麻黄一湯」という処方ができます。

桂麻各半湯と葛根湯の違い

構成生薬を確認すると、

桂枝湯=桂枝+甘草+芍薬+大棗+生姜

麻黄湯=麻黄+杏仁+桂枝+甘草

です。

桂枝・甘草が共通しています。

よって、桂枝湯と麻黄湯を合わせたものというのは、

桂枝湯に「麻黄・杏仁」を加えたもの、と言い換えることができます。つまり、

桂麻各半湯=桂枝湯+(麻黄+杏仁

次に、「葛根湯」(かっこんとう)を分解すると、桂枝湯が隠れていますので、

葛根湯=桂枝湯+(麻黄+葛根

並べれば一目瞭然ですが、

「桂麻各半湯」と「葛根湯」の違いは、杏仁か、葛根か、という点だけです。

結局のところ、「桂麻各半湯」は、「葛根湯」の葛根を、杏仁に入れ替えただけの処方となります。

桂麻各半湯=葛根湯-(葛根)+(杏仁)です。

まとめますと、

カゼに使うなら、

桂麻各半湯は、葛根湯と同じようなカゼの状態で使えるけど、

葛根による項背部の強張りをとる作用が弱くなって、

その代わりに、杏仁による鎮咳・去痰の作用が強化されている処方、

と捉えることができます。

カゼにはまず葛根湯と言われますが、

咳や痰があるときには葛根湯では不十分かもしれない、

そのときは桂麻各半湯も考えられるということです。

桂麻各半湯の副作用・注意点

麻黄(マオウ)の配合量は少なめですが、基本的には、麻黄湯と同じような注意が必要です。

麻黄が配合されていることによる、不眠、動悸、血圧上昇、排尿障害などの副作用に気を付けなければいけません。

特に高齢者や、狭心症や心筋梗塞など心疾患のある方は注意が必要です。

また、まれに胃腸障害、食欲不振、悪心などの消化器症状のみられることがあります。

  • 用法用量や使用上の注意は、医師・薬剤師の指示、または添付文書の説明を守ってください。

『傷寒論』における桂麻各半湯

原典の『傷寒論』には、

カゼにかかってから数日して、
まだ発熱と悪寒があるが、
悪寒より熱感が強く、
熱が上がると顔が赤くなり、
吐き気なく、大便小便は正常で、
身体の痛みというよりは、
汗が出そうで出ないために身体の皮膚に痒みがでるとき、

このときに桂麻各半湯が使える、というような内容になっています。

※「吐き気なく、大便小便は正常」という条件があるのは、桂麻各半湯は、カゼの症状が胃腸にまでは及ばず、体表にあるときだけにしか使えないということです。

痒みがでるとき、というのが特殊なようにも思えますが、

実際、湿疹や蕁麻疹(じんましん)の「痒み」に対しても使える方剤です。

「桂麻各半湯」は温める方剤ですので、特に、体表(皮膚)が冷やされたときに起こるじんましん、いわゆる寒冷蕁麻疹に適します。

同じように「麻黄附子細辛湯」なども寒冷蕁麻疹に使われることがあります。

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