精神的要素に関連する咳

リラックスしているときは十分に深呼吸をして空気の出し入れがスムーズに行えます。

しかし強いストレスを受けているときなどは、呼吸が浅くなっています。

肺にしっかりと空気を納めることができないために

咳として出たり、呼吸困難を伴ったりします。

このような、自律神経系の過緊張状態があって、気管支の平滑筋に影響し、

咳や喘息を引き起こしているときに使える方剤として

「神秘湯」(しんぴとう)があります。

 

「神秘湯」の効果

神秘的、という国語辞典の意味からすれば、

人間の知恵では計り知れないくらい、

または、普通の認識や理論を超えて、

不思議なくらいによく効くなんて、ちょっとハードルを高めてしまっている命名だと思いますが・・・

特別変わった生薬が配合されているわけではありません。

 

 

構成生薬は

麻黄・杏仁・柴胡・厚朴・陳皮・蘇葉・甘草です。

麻黄・杏仁の配合からは「麻杏甘石湯」(まきょうかんせきとう)

柴胡・厚朴の配合からは「柴朴湯」(さいぼくとう)の要素が入っている感じもします。

しかし、「神秘湯」のなによりの特徴は、

柴胡・厚朴・陳皮・蘇葉の、ストレスが影響して「気」の流れが悪くなった時に効果のある生薬がたくさん入ることです。

 

「神秘湯」=(柴胡・厚朴・陳皮・蘇葉) + (麻黄・杏仁・甘草)

=柴胡・厚朴・陳皮・蘇葉 + (麻黄湯-桂枝)

=柴胡・厚朴・陳皮・蘇葉 + (三拗湯)

と考えることもできます。

(「三拗湯」(さんようとう)は、麻黄湯から桂枝を除いているので、発汗作用が弱い)

 

ストレスに対応する「肝」の気の流れを整える生薬と

「肺」の気の流れも整え、強い咳を抑える生薬との組み合わせです。

自律神経系の緊張を緩めて、気持ちを落ち着かせ、咳を鎮める方剤です。

よって神秘湯は、ストレスが関係しているような(ストレスで悪化する)咳や喘息に応用されます。

例えば人前で話すときに咳が出る人、

咳が出てしまうんじゃないかと不安感におそわれる人にもいいかもしれません。

 

炎症をしずめるような(石膏などの)生薬は入りませんので、急性期の症状(肺熱)にはあまり使われません。

痰が多くでるような咳にも別の薬が必要です。

咳や痰がひどいときには、「神秘湯」(しんぴとう)に、「半夏厚朴湯」(はんげこうぼくとう)を併用するのが効果的だとされており、

その二つを合方している商品も販売されています。

【第(2)類医薬品】ツムラ生薬製剤 カンポアズマ

 

「神秘湯」の注意点

麻黄(、と杏仁)の配合量が多いことです。

麻黄・杏仁で「肺」のはたらき(宣発と粛降)を改善して呼吸を整えます。

ですから、咳止めとしては、どちらかというと切れ味のいい方剤、と言うこともできますが、

逆に麻黄による副作用(不眠や動悸など)に注意が必要でもあります。

胃腸が弱い人も注意してください。

 

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