「麦門冬湯」(ばくもんどうとう)

のどの乾燥感、渇き、熱(炎症)があって、痰がある。

熱によって乾燥した水分の少ない痰は粘っこくなり、痰の量は少なくてもなかなか切れにくく、

そのせいで強く咳き込んでしまう、

また強く咳き込み過ぎて、ときに吐きそうになることもある、

というときに使われます。

 

 

「麦門冬湯」の構成生薬は、麦門冬・半夏・大棗・甘草・人参・粳米

咳に使われることが多い方剤なのですが、

咳を鎮める効能をもつのは、半夏

主薬の麦門冬は、主に肺を潤わせる効能をもつ生薬です。

潤すことで咳を鎮めます。

 

その他の大棗・甘草・人参・粳米は、どちらかというと胃腸にはたらく生薬です。

咳を鎮めたい漢方薬なのに、6つの生薬のうち4つは胃腸の生薬なのです。

 

五行(木火土金水)の理論によって考えますと、

脾胃(土)⇒肺(金)への、促進の流れがあります。

脾胃が母で、肺が子、の関係です。

ということは、親が潤えば、子が潤う、

逆に、親(脾胃)が潤わなければ、子(肺)も潤わない、ということになります。

 

大棗・甘草が、胃腸のはたらきを高めて、水分の吸収を良くする。

人参・粳米は、胃の津液(陰液)を生み出します。

これにより胃も潤って、肺の潤いの低下を抑制します。

 

半夏は、肺の気を降ろして咳をしずめる生薬ですが、

一方で、乾燥させるはたらきを持ちます。

「麦門冬湯」の効能からすれば、乾かす半夏の作用は好ましくないのですが、

麦門冬(と人参)を大量に配合しているために、十分にカバーされている、と考えられます。

または、半夏の乾かす作用をうまく打ち消すことによって、

咳を鎮める効能のみをきちんと引き出した構成だという見方もできます。

 

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