芎帰膠艾湯(きゅうききょうがいとう)

構成生薬の、川芎・当帰・阿膠・艾葉・芍薬・地黄・甘草のうち、

・当・阿葉の4つの生薬から一文字ずつとって「芎帰膠艾湯」です。

 

構成生薬を整理すると

当帰・川芎・芍薬・地黄 +(艾葉・阿膠・甘草)と考えることができ、

四物湯 + 艾葉・阿膠・甘草

なので、

血虚に使う「四物湯」(しもつとう)を基本にして、艾葉・阿膠・甘草を加えたかたちです。

ですが、

芎帰膠艾湯は、『金匱要略』に登場している方剤であって、

歴史的には芎帰膠艾湯の方が、四物湯よりもずっと古いもの。

芎帰膠艾湯をシンプルにしたものが四物湯ということになります。

しかし、いずれにしても

四物湯、つまり血虚がベースにあるときの方剤だということは変わりません。

 

芎帰膠艾湯は「痔」の薬?

ツ〇〇の医療用の芎帰膠艾湯の保険適応病名はなぜか「痔出血」だけなのですが、痔だけの薬では当然ありません。

『金匱要略』においては、婦人の不正出血を治すための方剤として書かれいます。

妊娠中の異常な出血、

出産後の出血がなかなか止まらない、

月経後の出血がだらだらと続く、

出血量が多くて貧血を呈したとき、など

まとめて婦人の持続的な不正性器出血に用いられる処方です。

 

 

構成生薬について

四物湯 + 艾葉・阿膠・甘草ですので、

艾葉・阿膠・甘草の解説をしますと・・・

 

艾葉(ガイヨウ)

いわゆるヨモギ。

草団子やお餅などに食品としても使われますし、

お灸に使う「もぐさ」、韓国の健康法「よもぎ蒸し」などでも知られるあのヨモギです。

下腹部をよく温める生薬です。

また艾葉には安胎作用があるとされています。

下半身、特に女性では子宮を通る経脈を温めて、気血の流れを良くして、血の漏れるのを止めます。

四物湯に含まれる当帰(トウキ)の、冷え、腹痛、月経痛の緩和のはたらきを補います。

 

コラム⇒ 和ハーブ「よもぎ」の効果効能!お茶やよもぎ蒸しなど、美容に嬉しい使い方

 

阿膠(アキョウ)

いわゆるゼラチン。

正確にはロバ(ウマ科)の、コラーゲンを含む皮・骨・じん帯などを煮込んでつくる膠(にかわ)です。

ロバから作るは阿膠は貴重なので、現在はブタやウシなど他の動物由来のコラーゲン(局方のゼラチン)で代用していることが多いです。

膀胱炎や血尿などのときに使われる「猪苓湯」(ちょれいとう)に配合されているように、止血の効果が期待される生薬です。

ここでも四物湯の、補血・滋陰をさらに補い、止血の効果がプラスされます。

 

甘草(カンゾウ)

甘草は諸薬を調和させるためもありますが

四物湯の中に芍薬が入っていますので

芍薬+甘草⇒芍薬甘草湯となり、止痛の効果も加わっています。

 

まとめますと、芎帰膠艾湯は

四物湯 + 艾葉・阿膠・甘草

つまりは

=血虚の改善 + 止血(・止痛)

の薬と考えることができます。

 

まず「血虚」が基礎にあり

  • 顔色が悪い
  • 皮膚につやがない
  • 皮膚がかさかさしている

という症状とともに、出血があるとき、

  • 不正性器出血
  • 産後の出血
  • 月経過多症

またはその他の下部出血

  • 尿路(腎臓・膀胱)出血による血尿
  • 下血(血便)

に使うことができます。

 

注意点

処方全体として温める薬なので、「冷え症」の人向きの方剤です。

とくに艾葉は、下腹部を温め、血をめぐらせるので、

炎症性・充血性の出血には適しません。

芎帰膠艾湯で出血が止まらないときは、

黄連や黄芩などを配合した清熱薬で止血した方がいい場合もあります。

 

また、芎帰膠艾湯は四物湯を含む方剤ということで、

胃腸虚弱の方には合わないことがありますので、注意して下さい。

 

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