半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)

上腹部(みぞおちのあたり)がつかえたり、抵抗があるときに用いる代表的な瀉心湯類の方剤です。

 

「脾胃不和」

半夏瀉心湯の適応は、「脾胃不和」の状態とされています。

悪心・嘔吐という、上逆の症状と、

下痢という、下降の症状とが、同時に起こっている状態をいいます。

胃には軽度の炎症で熱があるけれど、

胃腸は冷えて機能が低下して下痢がみられます。

 

 

瀉心湯(しゃしんとう)の「瀉心」とは

辞書によると「瀉」には、「からだの外に流し出す」という意味があります。

悪いものを体の外に追い出す、取り除くという感じです。下痢をさせる作用を瀉下(しゃげ)作用(下剤を瀉下薬)と言うときにも「瀉」を使います。

「心」は、心下部のことだと言われています。

心下痞(しんかひ)という、みぞおちあたりの痞え(つかえ)が起こりやすい部分のことで、

つまりは場所的には胃のあたりを指しています。

瀉心湯という名前の漢方薬は、「半夏瀉心湯」以外にもいくつかありますが、

共通の作用として、

瀉心=胃のあたりの痞え感を取り除くものであるということができます。

心下痞という胃の痞え感というものは「気」によるもので、

何か形のある物が実際に痞えているものを指すわけではありません。

「気」が滞っていることによる不快感が主体で

必ずしもお腹が張っているとか、押さえると痛いということではありません。(張りや痛みがあることもあります。)

からだの消化器を、上・中・下と分けたとき、

真ん中で「気」が滞ると、

そこよりも上の「気」は下に行けないので、上向きが強くなり、「吐き気や嘔吐」という症状になり、

真ん中よりも下の「気」が上には行けなくなれば、下向きへの作用が強くなり、

お腹がゴロゴロ鳴る・下痢などの症状が現れます。

このときも、腹痛は伴わないことが多いようです。

参考⇒わかる使える漢方方剤学 経方篇1

 

 

半夏瀉心湯の構成生薬と作用

配合される生薬は、半夏・黄芩・黄連・乾姜・人参・大棗・甘草です。

 

半夏・(乾姜) → 悪心、嘔吐を抑える

乾姜 → 脾胃を温める

人参 → 胃腸の機能を回復

黄芩・黄連 → 消炎、膨満感・つかえ・下痢を除く

大棗・甘草 → 蠕動亢進を調整(腹鳴、下痢を和らげる)

というような作用があります。

 

方剤の名前に含まれる、吐き気を抑える「半夏」

瀉心湯類に共通の生薬である「黄連」の作用がポイントで、

その他の乾姜・人参・大棗・甘草などから消化機能を補って気力を増す(補脾益気)効果も期待できます。

なお、

黄芩・黄連の「寒性」は

半夏・乾姜の「熱性」とで、

寒熱のバランスがはかられています。

 

軟便や下痢に対して使われていることが多く、

も、「半夏瀉心湯」です。

消化機能の低下や食欲不振のあるとき、

急性・慢性の胃腸炎や、二日酔い、乗り物酔いなどに応用できる方剤です。

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