甘草(カンゾウ)の入っていない漢方薬はあるのか?

甘草(カンゾウ)は漢方エキス製剤のおよそ7割(それ以上)に配合されています。

もっとも多くの漢方薬に用いられている生薬です。

抗炎症、鎮痙、止痛、健胃などの効果、

その他、処方全体の作用を調和させたり、他の生薬の毒性を緩和させる効果など

幅広い効果があるためだと思われます。

処方全体の作用を調和させる効果があるのなら、

すべての漢方薬に入れてもいいのか?とも思えてしまいそうですが、

そういうわけにはいかないのです。

甘草の入っていない漢方薬の特徴とは・・・

 

 

甘草の潤す効果

例えば、

甘草の作用の特徴のひとつに「潤す」効果というものがあります。

 

甘草は、その作用によって

「麻黄湯」(まおうとう)
「清暑益気湯」(せいしょえっきとう)
「当帰飲子」(とうきいんし)

にも配合されています。

「麻黄湯」の麻黄(マオウ)には発汗作用がありますので、汗をかきます。

汗をかき過ぎれば脱水症状を引き起こす心配がありますので、

ある程度は水分を保持しておけるような甘草を入れておくことに意味はあります。

「葛根湯」(かっこんとう)や「小青竜湯」(しょうせいりゅうとう)をはじめとして、

麻黄が入るものの多くには甘草も入っています。

 

夏バテの漢方薬として有名な「清暑益気湯」(せいしょえっきとう)は、もちろんですし、

高齢者の乾燥による皮膚の痒みに使う「当帰飲子」(とうきいんし)、

潤すことを主目的にしている漢方薬には、甘草(カンゾウ)がよく配合されています。

 

潤す=水分の保持される効果は、尿量としてみれば減少する方向のはたらきです。

 

甘草を入れてはいけない漢方薬

では、逆を考えてみますと・・・

「五苓散」(ごれいさん)
「猪苓湯」(ちょれいとう)

などはどうでしょうか。

浮腫みをとりたい、とか

体から水分を出したい、尿量を増やしたい、というときに使う漢方薬に、

甘草の「潤す」「水分保持」の効果が入ると、明らかにジャマをしてしまいます。

 

甘草(かんぞう)の副作用として知られる偽アルドステロン症の初期症状に、

「浮腫」があります。

甘草を摂り過ぎると浮腫を招くかもしれないのに、

浮腫をとるために使う「五苓散」に甘草を配合するはずがない、と考えてもいいかもしれません。

 

同様に「当帰芍薬散」(ときしゃくやくさん)「真武湯」(しんぶとう)半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう)「茯苓飲」(ぶくりょういん)なども

甘草の配合の有無が想像できてきますでしょうか。

 

漢方薬の配合を勉強されている方に

漢方薬の配合を覚えようとするときに、丸暗記はあまり効率的ではないと思います。

「呉茱萸湯」(ごしゅゆとう)など、服用して味を知っていれば、

甘草の甘さが全く感じられない、ということで分かる漢方薬もありますが、、、

もしかしたら、

単に甘草が必要ないから入れていないだけで、甘草を入れてもいいのではないかという漢方薬もあるだろうし、

甘草を入れるべきではなくてあえて入れていないのだろうという漢方薬もありますし、

甘草が入っているけれど場合によっては入れない、または減量する方がいいのではないかと思うこともあるだろうし、

生薬の作用の特徴を理解しようとしていけば、

配合の法則性も徐々に理解できてくるかもしれません。

甘草を配合しない漢方薬はまだまだ挙げればあります。

 

甘草(かんぞう)の副作用である偽アルドステロン症の症状で「血圧上昇」が起こるかもしれないとして、

「七物降下湯」(しちもつこうかとう)「黄連解毒湯」(おうれんげどくとう)に甘草はどうだろうか、とか

 

「大黄甘草湯」(だいおうかんぞうとう)に甘草は必須なのに、「麻子仁丸」(ましにんがん)に入っていないのはなぜだろうか、とか

などなど、

今回は例えば「甘草」ですが、このようにひとつの生薬に注目して、

それを含むものと含まないもの、で漢方薬を勉強してみる、というのもおもしろいです。

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