冷え改善の漢方薬選び

「冷え」の改善は漢方薬の得意分野と言えます。

それだけに、冷え症の改善に効果があると言われる漢方薬の種類も多く、

自分にはどれが合っているのか選び出すのが難しいかもしれません。

「冷え」に使われる漢方薬の特徴をまとめましたので、選ぶ際の参考にして下さい。

 

しもやけや、冷えると起こる痛みなどで治療している人もいる一方、

職場の室温設定で自分だけが寒い、スーパーの生鮮食品売り場の冷気が苦手など

日常生活はつらいけれども病気とまでは言えないし、

冷えが治る特効薬があるわけでもないし、

相談しても自分の冷えのつらさが分かってもらえるかどうかもわからないし、

と、我慢している人も多くいます。

そこでやはり、冷えと言えば、漢方の出番となります。

 

冷えには、加齢に伴い新陳代謝が徐々に衰えてきたための「冷え」と、

特に女性に多くみられる体質的な「冷え」とがあります。

体質的な冷えのことを一般的には「冷え性」と表現しますが、

漢方の考えでは、「冷え」は他の疾患を引き起こす原因にもなり、治療すべき症状のひとつなので、「冷え症」と書くことが多いです。

 

「冷え症」に用いる漢方薬の特徴

冷えを改善するために、

①当然のこととして、冷えているときは原則的に温める作用のある生薬が必要です。

しかしそれだけでは改善しないかもしれません。

生姜湯や辛い料理を食べたところで温まるのは一時的です。

 

②冷めた料理を、鍋や電子レンジで温めるとき、

水分量が多い料理と少ない料理とでは、温まり方に差があるものです。

同じように、身体のなかにもし余計に水分が溜まっていたりすると、その部分は温まりにくいですし、冷えやすくもなります。

体に余分な水がある場合は(「水毒」といいます)、その水を除いてあげた方がいいでしょう。

 

③もし体の一部分だけ冷えているのであれば、

その部分へ「気」や「血」が充分に巡っておらず、そのために熱が伝わらず温められていないという可能性があります。

冷えた時に腰痛、腹痛、生理痛、肩こりなどの痛みが発生するのは、巡りが悪い証拠です。

 

つまり、まとめますと、

冷え症の改善効果のある漢方薬は、

身体を温める作用のある生薬で構成されており、

さらに、冷えの症状に応じて、「水」の代謝を良くしたり、

「気」「血」の量を増やしたり、巡りを良くする効果のある生薬が入っているものが適します。

 

代表的な漢方薬とその特徴を解説します。

 

 

下半身の冷えに苓姜朮甘湯(りょうきょうじゅつかんとう)

茯苓・白朮・乾姜・甘草の4つの生薬が含まれます。

温めるものといえば冷え症の人の定番アイテムであるショウガ(生姜)を思い浮かべると思いますが、

乾姜は、生姜を加工して温める作用をさらに強めたものです。

茯苓・白朮で、「水」の代謝を改善します。

余分な水分が下半身に滞っていて、まるで腰から下が水中に浸かっているように冷える、という人に使われます。

 

お腹の冷えに人参湯(にんじんとう)

人参・白朮・乾姜・甘草の4つの生薬です。

先ほどの「苓姜朮甘湯」と比べると、茯苓の代わりに人参が加わります。

乾姜が胃腸を温めるとともに、

人参は胃腸の働きを元気にして、熱を作り出す力を高めます。

お腹を冷やしやすい人、冷えた時に下痢をしやすい人に使われます。

 

冷えによる下痢に真武湯(しんぶとう)

茯苓・白朮・芍薬・生姜・附子の5種類の生薬です。

温める生薬が2つになります。乾姜ではなく生姜が使われていますが、その代わりに附子が配合されます。

附子の温める作用は他のどの生薬よりも強力です。

茯苓・白朮で(消化器の)「水」の代謝を改善します。

新陳代謝の衰え(腎の陽虚)があり、元気がなく

いつも冷えていて慢性的に下痢をしているような人に使われます。

 

冷えと浮腫(むくみ)に当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)

茯苓・白朮・沢瀉・当帰・芍薬・川芎の6つの生薬です。

茯苓・白朮のほかに、さらにもう一つ「水」の代謝を整えるための沢瀉が入ります。

当帰・芍薬・川芎で「血」を増やして巡りも良くします。

朝起きた時は顔がむくんでいて、夕方になると足がむくむ、というような水毒体質の人で、

冷えと、貧血や生理痛がある人に使われます。

 

首すじの冷えに葛根湯(かっこんとう)

葛根・麻黄・桂枝・芍薬・甘草・大棗・生姜の7つです。

大棗(ナツメ)と生姜は、胃腸の働きを良くして「気」(熱)の生産を助けます。

麻黄・桂枝は、体の体表面近くで「気血」を巡らせて皮膚側を温めます。

葛根・芍薬・甘草は、筋肉のこりや痛みを緩和します。

首すじが冷えて筋肉がこわばり、肩こりや頭痛を起こす人に使われます。

 

指先の冷えに当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)

当帰・細辛・呉茱萸・木通・桂枝・芍薬・甘草・大棗・生姜の9つです。

後半の生薬、(桂枝・芍薬・甘草・大棗・生姜)の5つで「桂枝湯」(けいしとう)という漢方薬になりますが、「葛根湯」とも共通の部分です。

当帰・芍薬で「血」の不足を補いながら、呉茱萸など温める作用の生薬を加え、

温まった「血」を細辛・桂枝などで巡らせます。

名前に含まれる「四逆」という言葉は、四肢(手足)の末端から冷えてくる状態を指しています

血行が悪くて指先まで「血」が巡らず温められない、指先が冷たくてジンジン痛いという人に使われます。

 

手のひらの冷感に四逆散(しぎゃくさん)

柴胡、枳実、芍薬、甘草の4つの生薬です。

これも「四逆」という言葉を使いますが、配合されている生薬は「当帰四逆加呉茱萸生姜湯」と大きく異なります。

精神的な緊張によって、手のひらが汗でいつも湿っていて、そのせいで手が冷たくなる人に使います。

冷えの原因がストレスであれば、このようなストレスを緩和する漢方薬が使われることもあります。

 

その他、冷える部位や、いつどのように冷えるのかで、使われる漢方薬は異なってきます。

瘀血があれば「桂枝茯苓丸」や、

腎陽虚であれば「八味地黄丸」などが効果的なこともあります。

体を冷やす食品を摂り過ぎないことや、適度な運動をして筋肉を動かすことも心がけて頂きたいと思いますが、

それでも漢方薬の助けが必要な場合には、体に合った漢方薬を選んでお使いください。

また、冷えの原因には西洋医学的に、動脈硬化症による血管の閉塞や、脊柱管狭窄症、甲状腺機能低下症、貧血、低血圧などが原因のこともあります。

それらの治療を優先すべきときがありますので心配な方は病院でご相談ください。

 

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