疎経活血湯(そけいかっけつとう):SOKT

名前の最初の「疎」は、意思疎通などで使われる、疎通の意味で、ふさがっていたものが通じることを指します。

次の「経」は経絡のことなので、

「疎経」とは、経絡が通じるようになることです。

経絡は気血の運行ルートです。

経絡が通じるようになれば、「血」の流れも活発になります。つまり活血させます。

だから、疎経により活血する薬ということで、「疎経活血湯」。

 

そして、

「不通則痛(通じざれば則ち痛む)」の漢方的理論がありますので、

通じていないために痛みが起きているならば

「通則不痛(通じれば即ち痛まず)」です。疎通による鎮痛ができます。

経絡の流れを悪くしている原因には、風邪(ふうじゃ)、寒邪(かんじゃ)、湿邪(しつじゃ)があります。

例えば、湿邪があることの特徴として「重だるさ」「痛みとしびれ」が生じます。

疎経活血湯は、風・寒・湿すべてに対応できますが、

特に、経絡上の湿邪を除くための生薬がたくさん配合されて、

基本的に疎経活血湯は、「痛み」または「しびれ」の症状に対して使われています。

医療用エキス製剤は、ツムラ・オースギ・太虎堂があります。(53番)

 

 

疎経活血湯の出典

万病回春(16世紀)

疎経活血湯の構成(配合される生薬)

  • 当帰(トウキ)※
  • 芍薬(シャクヤク)※
  • 地黄(ジオウ)※
  • 川芎(センキュウ)※
  • 蒼朮(ソウジュツ)または白朮(ビャクジュツ)
  • 茯苓(ブクリョウ)
  • 桃仁(トウニン)
  • 牛膝(ゴシツ)
  • 防已(ボウイ)
  • 防風(ボウフウ)または浜防風
  • 羌活(キョウカツ)
  • 威霊仙(イレイセン)
  • 白芷(ビャクシ)
  • 竜胆(リュウタン)
  • 陳皮(チンピ)
  • 甘草(カンゾウ)
  • 生姜(ショウキョウ)

 

17種類もの生薬が配合されている多味の方剤です。

※の当帰・芍薬・地黄・川芎の4つが配合されているので四物湯(しもつとう)がベースの構成です。

蒼朮か白朮かについては、どちらでも可ですが、経絡上の風湿を除くという目的で使うなら、蒼朮の方が適しています。

疎経活血湯の効能・適応症状

腰痛(椎間板ヘルニア、骨粗鬆症、ぎっくり腰など)

関節痛(変形性膝関節症、関節リウマチ、痛風など)、肩関節周囲炎

神経痛(坐骨神経痛、上下肢神経痛)、筋肉痛(ねちがい、五十肩)

末梢神経障害、脳卒中後遺症、こむらがえり、腱鞘炎(テニス肘)

疎経活血湯の作用の特徴

配合生薬の多い漢方薬であり、

痛みに対しては、広範囲に用いられています。

痛みやしびれを除くために配合されているのが防已・防風・羌活・威霊仙・白芷。

これらは痛みの原因である経絡上の風湿を除く働きがあります。

そこに経絡以外の、余計な水滞(湿)を除く蒼朮・茯苓も足されています。

桃仁・牛膝には活血の働きがあります。

それだけではなく、四物湯(当帰・芍薬・川芎・地黄がベースとして入っています。

つまり、痛みを止めるのと、活血させるのと、それに追加で

「血虚」(栄養状態が悪い)に対しての処方でもあることになります。

もともと虚弱で、栄養状態が悪い人が、血の流れも悪くて、そこに痛みが表れだした場合や、

または、痛みが長期にわたって続いている人のそれとともに生じた瘀血や血虚もあわせて改善する薬になっています。

 

一般的には「腰から下肢にかけての痛みに用いる」とされますが、

これは「湿邪」というものが(湿は重いので)下半身を冒しやすいからです。

逆に「風邪」(ふうじゃ)だと上半身に症状が出やすくなります。

疎経活血湯は、手足のしびれ、肩関節も含め・腰・膝など上半身でも下半身でも対象になり得ます。

 

血虚や瘀血の存在があるとすれば、「さすったり押したりすると増す痛み」または「夜になると増す痛み」、

また、生薬としては温性のものが多いことから、「冷えると増悪する(慢性の)痛み」に用いられることが多くなります。

逆に、赤く炎症の強い痛みにはあまり用いられません。(竜胆には清熱・消炎作用あり)

胃腸をフォローするような陳皮・生姜・甘草も含まれていますが、四物湯と同様、胃腸障害が起こることもあるので注意してください。

 

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