四逆散(しぎゃくさん):SGS

「四逆」とは、体には炎症(熱・ほてり)があるのに、肢はに冷えている状態、

四肢の末端の冷え、つまり手足の冷えを表します。四肢厥逆(ししけつぎゃく)の略です。

体を温めるための「陽の気」が体の中心にはあるけれど、

気の流れが悪いために、その「陽気」(熱エネルギー)が四肢に十分行きわたらず、手足が冷えてしまう状態に用いられます。

体の芯から冷えているわけではないので、この場合必要なのは、体を温めるための生薬よりも、鬱滞している「気」を動かす生薬が重要です。

四逆散ではそれが柴胡と枳実です。

柴胡と枳実が協力して気の鬱滞を解きます。柴胡が昇性(気を発散させる)で、枳実が降性(気を下降させる)です。

手足の冷え以外にも、気を巡らせる作用を利用して、(他の方剤と組み合わせながら)ストレスからくる様々な症状に対して応用されています。

柴胡を含むので、柴胡剤の仲間に入れられますが、

「気」の巡りは悪いけど、「気」自体は虚していない状況ですので、「小柴胡湯」よりは実証向きの方剤と考えられます。

医療用エキス製剤としてはツムラのみです(35番)。

 

 

四逆散の出典

傷寒論(3世紀)

四逆散を構成する生薬

柴胡(サイコ)
枳実(キジツ)
芍薬(シャクヤク)
甘草(カンゾウ)

四逆散の効能・適応症状

緊張したときに手足が冷たい、手のひらに異常な汗をかく

腹痛、胃痛、胃酸過多、神経性胃炎、ストレス性潰瘍、腹部膨満感、食欲不振、逆流性食道炎

過敏性腸症候群、胆のう炎、胆石症、腸炎、尿路結石、膀胱炎、インポテンス

気管支炎、気管支喘息

月経不順、おりもの過多、更年期障害、不妊症

精神神経症状(動悸、不眠、不安、イライラ、抑うつ、ため息、ヒステリー、情緒不安定)、肋間神経痛

  • 保険適応外の症状を含みます
  • 上記の症状に応用が可能という意味であり、すべての症状が四逆散で治せる、ということではありません。

四逆散の使用のポイント

神経質なタイプで、手足に冷えがある人によく使われます。

「柴胡・枳実」+「芍薬・甘草」の組み合わせと見れば

「精神的な緊張」+「筋の緊張(痙攣・収縮)」がみられる症状に適していると考えられます。

ストレスによる肩こり、ストレスで悪化する咳、精神不安による胃痛や便通異常(過敏性腸症候群)、緊張による頻尿、等々。

ストレスを解消させるために暴飲暴食をしてしまって膨満感や胸焼けを起こしている場合では、胃腸薬を用いるだけではなくて、四逆散のようなストレスを緩和させる漢方薬が有効なこともあります。

冷えについて現代医学的には、交感神経の緊張によって、末梢血管が収縮するため手足への血流量が低下し、また手のひらや足のうらが汗で湿りその気化熱で体温を奪われて手足が冷える、と説明できます。

冷えは一般的にひどくはなく、指先が冷える、または、温かくない、他の人に手を触れられたときに冷たいねと言われ、そうなんだと気付く程度の軽いものを含めます。

四逆散の副作用・注意点

医療用エキス製剤にはありませんが、「四逆」(しぎゃくとう)という方剤は、体の芯から冷えている人に用いられます。名前が似ていますが、構成生薬も使用する病態も異なりますので、混同しないように注意が必要です。

胃腸虚弱の方は、枳実で下痢をすることがあります。

他の漢方薬と併用される場合、または長期間服用する場合は、甘草の副作用に注意してください。

四逆散の構成はシンプルです。例えば柴胡・芍薬・甘草のコンビは、(加味)逍遥散や、柴芍六君子湯などでもみられます。症状が月経に関連して起こるとか、食欲不振を伴うとか、症状によってはそれに見合った生薬の配合されている他の方剤が良いかもしれません。

枳実が含まれるので、妊娠中の使用はできるだけ控えてください。

  • 用法用量や使用上の注意は、医師・薬剤師の指示、または添付文書の説明を守ってください。

四逆散の加減方

四逆散の枳実を枳殻に代え、香附子・川芎を加えたものは「柴胡疏肝散」(さいこそかんさん)です。理気と活血の効果が加わります。

OTCにあるエキス剤の「柴胡疏肝湯」(さいこそかんとう)は、四逆散に香附子・川芎・青皮(セイヒ)が加わったものです。

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