大黄甘草湯(だいおうかんぞうとう):DKZT

市販薬も含め、一般的に広く利用されている便秘薬です。

大黄剤の基本処方であり、便秘に対する基本処方でもあります。

単純に、瀉下薬(便秘薬)として使用することは間違いではありませんが、

漢方で「瀉下」という場合には、単に「便を排出する」ことだけではなく、

「腸内にこもった熱、炎症による熱を(便とともに)外に出す」という意味も含んでいます。

大黄には、センノシドの他、タンニン類も多く含まれています。

つまり大黄は、センナ・アローゼン・プルゼニド(センノシド)など一般的なセンノシド製剤とは異なっていて、

瀉下薬として用いる他、清熱薬として、さらには活血化瘀薬(駆瘀血剤)としての側面があることも重要です。鎮静作用ももちます。

一緒に配合される甘草は、大黄の作用で蠕動運動が亢進することによって起こる腹痛や、腸管のけいれん、排便時の痛みを緩和させる目的があります。

また甘草が加わることで滋潤作用(硬い便に潤いをつける効果)が足されます。

医療用エキス製剤には、オースギとツムラがあり、オースギには錠剤もあります。

ツムラのもの(84)は大黄と甘草が4:2の割合です。オースギのものは4:1で配合されています。(原典の『金匱要略』では4:1です)

 

 

大黄甘草湯の出典

金匱要略(3世紀)

大黄甘草湯を構成する生薬

  • 大黄(ダイオウ)
  • 甘草(カンゾウ)

大黄甘草湯の効能・適応症状

便秘(習慣性便秘)

便秘に伴う腹部膨満・吐き気・腸内異常醗酵・食欲不振

便秘を伴うふきでもの(にきび)・湿疹・皮膚炎・痔

頭重・のぼせ・精神的興奮・過食

大腸内視鏡検査前の処置として

  • 保険適応外の症状を含みます。
  • 上記の症状に応用が可能という意味であり、すべての症状が大黄甘草湯で治せる、ということではありません。

大黄甘草湯の使用のポイント

瀉下作用を有する「大黄」だけでなく「甘草」が組み合わさっているので、センノシドなどの便秘薬で腹痛を起こしてしまう人にも使いやすくなっています。

用量依存的に、大黄の量が多いほど(甘草の量が少ないほど)、瀉下作用が強くなります。

瀉す作用の強い大黄を主薬とする漢方薬ですので、通常は体力がある人(実証)によく用いられます。

大黄は寒性(冷やす性質)の生薬ですので特に、胃腸に熱がたまりやすく、その熱で便が乾燥してきて便秘になっている人に適しています。

食欲があり、食べる量が多い人
きちんと食べているけどすぐにお腹がすく人
飲酒をする人、お酒が入ると食欲が増す人
辛いもの、濃い味のもの、油ものをよく食べる人
口が渇く、胸焼けがする、口臭がある人
食事しているとよく汗をかく、食後に冷たい水を飲みたくなる人

などは、胃に熱がある人の特徴になります。

便を出し、消化管のはたらきを正常にすることで、膨満感や吐き気を解消させる効果もあります。

シンプルな構成の漢方薬ですので、

便秘の原因に応じて、他の漢方薬と併用しながらの服用も可能ですし、

とりあえず大黄甘草湯を試してみて、ダメだった場合に次の手を考えるという感じで使われることもあると思います。

その他に、大黄に血中尿素窒素(BUN)低下作用があるので、もしかしたら透析患者や、腎機能障害の改善目的で使われることがあるかもしれません。

大黄甘草湯が合わないときは

便が硬いときは、芒硝を加えた「調胃承気湯」(ちょういじょうきとう)が用いられます。

大黄甘草湯が効かない場合で、下す作用を強めたい時は、「○○承気湯」系の漢方薬を検討してください。(桃核承気湯など)

大黄甘草湯で腹痛を起こしやすい人は「桂枝加芍薬大黄湯」をお試しください。

高齢者の便秘には、麻子仁丸(ましにんがん)や潤腸湯(じゅんちょうとう)の方が適することが多いです。(⇒潤腸湯と麻子仁丸の効果の違いの解説はこちら

大黄甘草湯の副作用・注意点

基本的には頓服として用いてください。便が出れば中止します。(大黄甘草湯だけで体質改善の効果は期待できません。食事や運動の見直しが必要です。)

効き方には個人差があります。症状に応じて用量・用法は調整して構いません。

ただし、単独で長期使用してると徐々に効果が悪くなってくることがあります。使用量が増えると、かえって便秘をひきおこし腹痛が強くなることもあります。

大黄の配合量が多く、胃腸の弱い人では腹痛、下痢を起こすことがあります。少量から開始してください。

服用してから効果発現までの時間には個人差があります。大体センノシドの効果発現時間は8~12時間くらいですので、朝に排便習慣をつけるためには、前日の晩に服用するのが一般的です。

学校や職場、旅先など、外出先にて便意や腹痛がきたら困る方は、朝の服用は避けたり、帰宅後や、夕食~就寝前などの時間だったり、生活に合わせて逆算して服用してください。(食前や食間にこだわる必要はありません)

お腹が冷えている人には適しません。お腹の冷えによる便秘や膨満感には「大建中湯」のような温める漢方薬を用います。

妊娠中に服用してもよいかどうかは、専門家によっても意見は分かれるところです。適量を慎重に用いれば大丈夫だと思いますが、必ず医師にご相談を。大黄には子宮収縮作用があると考えられていますので、わざわざ大黄甘草湯でなければいけないという理由がなければ、積極的なおススメはしません。

妊娠初期や、習慣性流産のある妊婦さんは控えておいてください。

母乳中にわずかに大黄の成分が移行する可能性があります。もし乳児が下痢をしているようなときは授乳中の使用は注意してください。

子供の便秘にも有効ですが、OTCの大黄甘草湯を小児に使用する場合は、製品ごとに使用できる年齢と用法用量をよくご確認ください。

長期に使うときは甘草による副作用に注意して下さい。

大黄の成分によって、尿の色が、オレンジ色~赤色っぽくに見えることがあります。

  • 用法用量や使用上の注意は、医師・薬剤師の指示、または添付文書の説明を守ってください。

市販の大黄甘草湯

ドラッグスアで売られている「タケダ漢方便秘薬」、「大正漢方便秘薬」なども大黄甘草湯の製剤です。いずれも大黄と甘草が4:1の割合で配合されています。

錠剤タイプのものは、顆粒に比べると、便秘の程度に応じて用量調節がしやすいというメリットがあります。

ただし、瓶を開封したあとは品質が劣化するおそれがあるので、保管方法に気をつけてください。

タケダ漢方便秘薬は「信州大黄」配合と書かれています。上の方で、大黄には駆瘀血作用などもあると書きましたが、この「信州大黄」については、大黄のなかでも特に瀉下作用に優れている品種、つまり便秘薬に適した大黄だとされています。

コーラックハーブ(大正製薬)という商品も「2種類の生薬由来の成分で自然に近いお通じを」と説明されていますが、こちらは「大黄」ではなくて「センノシド(センナ)」+「甘草」です。

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