茯苓飲(ぶくりょういん):BRI

茯苓飲は、胃の溜飲(水分停滞)症に対する代表的な方剤です。

溜飲、つまり、不消化の飲食物が胃に留まっていて、酸性の胃液が喉まで上がってくる症状がある場合に用いられます。

 

茯苓飲の出典

『金匱要略』(3世紀)

茯苓飲を構成する生薬

  • 茯苓(ブクリョウ)
  • 白朮(ビャクジュツ)
  • 人参(ニンジン)
  • 生姜(ショウキョウ)
  • 陳皮(チンピ)
  • 枳実(キジツ)

逆流性食道炎の治療薬

逆流性食道炎は、胃液や胃の内容物が食道に逆流する疾患です。

酸っぱい液が上がってくる不快感、げっぷ、胸やけ、強い胃酸によって食道の炎症が引き起こされます。

治療薬は、現在はPPI(プロトンポンプインヒビター)が主流です。

胃酸が分泌されるプロトンポンプ(胃壁の酸が作られるところ)を直接阻害して、胃酸の分泌を抑制する薬です。

オメプラゾール(オメプラール・オメプラゾン)
ランソプラゾール(タケプロン)
ラベプラゾール(パリエット)
エソメプラゾール(ネキシウム)
ボノプラザン(タケキャブ)などです。

胃酸が減れば、逆流する胃酸は減り、食道への傷害が避けられるということです。

確実に胃酸の過剰な分泌が抑えられるので、効果がきちんと現れます。

しかし、

胃酸は皆同じように分泌されるとして、

それでも胃酸が逆流しない人と、逆流してしまう人がいる、という違いがあるのだとすれば、

逆流性食道炎になる人には、なぜ逆流するような現象が起きるのか、と考えるのが適切であり、

とりあえず胃酸の量を減らしておけばいいだろう、というのはあまり根本的な解決にはなっていないと言えます。

実際に、PPIは長期的に処方されていることも多く、その場合、「再発・再燃を繰り返す逆流性食道炎に対する維持療法」ということで使われています。

PPIは、強い酸を減らして食道炎は治せるけど、胃の内容物が逆流することは治せないのです。

逆流性食道炎に対する茯苓飲

茯苓飲の場合は、

PPIのように胃酸の量を減らすだけではなくて、

胃内容物の逆流を防ぐという、より直接的な作用を持っているようです。

 

茯苓飲の構成は、人参・白朮・茯苓・枳実・陳皮・生姜ですが

逆流を防ぐためには、

食道→胃→十二指腸へと、飲食物の流れを正常化させる、という目的で

枳実と陳皮が配合されていることがポイントとなります。

枳実と陳皮は、胃から十二指腸へつながる幽門を開き、飲食物の幽門の通過をスムーズにして、胃の停滞感を改善します。

げっぷや、胃酸過多、膨満感なども解消されます。

さらに、

利水薬である茯苓と白朮が配合されていて、

喉まで上がってくる胃内の余分な水(胃液)を除きます。

あと人参が入っていますので、補助的に、胃腸のはたらき(消化吸収)の低下を防いでいます。

茯苓飲の関連方剤

  • 吐き気やゲップ(曖気)の症状が強い場合は、生姜の量を増やしたり、半夏を加えたりすることがあります。

茯苓飲加半夏(ぶくりょういんかはんげ)

  • 精神的ストレスがある、吐き気がある、喉の異物感がある、という場合は、半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)と合方して使われることもあります。

→茯苓飲合半夏厚朴湯(ぶくりょういんごうはんげこうぼくとう)

  • また、六君子湯(りっくんしとう)も同じような使い方をすることがあります。

六君子湯と茯苓飲の違いとは

 

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