黄連解毒湯(おうれんげどくとう):OGT

漢方独特の「毒」という表現

黄連解毒湯、十味敗毒湯など、「毒」の字を含む漢方薬がいくつかあります。

またその他にも漢方の話の中には「毒」という言葉がたびたび使われますが、

漢方で言う「毒」には意味が3つあります。

使い方によって意味が異なりますのでまず整理しておきましょう。

①いわゆる「毒」

有毒物質、ポイズン、

生物の生命活動に害を及ぼす物質を総称してさす言葉です。

②病気の原因としての「毒」

体に必要不可欠なものでも、過剰にありすぎると不調の原因になることがあり、

例えば、水分が体のどこかに余分にたまっている状態を「水毒」とか、

食べすぎて体に余分な栄養がたまっている状態を「食毒」などと表現します。

③ある特定部位の症状を指しての「毒」

・化膿を伴う炎症
・壊死性の炎症
・浸出液を伴う症状
・熱感のある腫れ

なども「毒」もしくは「熱毒」と表現されます。

癤(せつ)とか癰(よう)というものもあります。

分かりやすい言葉では「おでき」や「はれもの」と言い換えることができます。

そして、こういった毒に対して、

熱を冷ます消炎作用のある生薬、または排膿の効果のある生薬、それらを配合された薬(方剤)のことを「清熱・解毒」の薬といいます。

黄連解毒湯がその代表的なものです。

黄連解毒湯の出典

外台秘要方(8世紀)

黄連解毒湯の組成(構成する生薬)

  • 黄連(オウレン)
  • 黄芩(オウゴン)
  • 黄柏(オウバク)
  • 山梔子(サンシシ)

の4種類です。

気や水が通っている(胸腹腔の)三焦を3つに分けると、上焦・中焦・下焦とあるわけですが、

各生薬の働きは主に、

黄芩 → 上焦(肺)の熱を冷やす

黄連 → 心と中焦(胃)の熱を冷やす

黄柏 → 下焦(腎・膀胱)の熱を冷やす

山梔子 → 三焦全体を冷やし尿とともに熱を出す+止血作用

ということになります。

すべて苦味の強い生薬で構成されていて、強い清熱作用があります。

ただし「黄連解毒湯」という名前からも分かるように、この方剤ではやはり「黄連」の働きが主で、

単独で使う場合は、(漢方における)「心」や「胃」の症状に用いることが多いです。

黄連解毒湯の効能・適応症状

痒みや炎症の強い皮膚疾患(蕁麻疹、アトピー性皮膚炎、ざ瘡)

高血圧、高血圧に伴う不眠・精神不安

各種の出血(喀血・吐血・鼻血・脳溢血・不正出血など)

胃炎、口内炎、味覚障害

過飲による動悸・興奮・二日酔い(特に胃の不快感やムカツキ、嘔吐)

不眠・めまい・心悸亢進・ノイローゼ

その他、さまざまな疾患に他の方剤と組み合わせても応用される

  • 保険適応外の症状を含みます。
  • 上記の症状に応用が可能という意味であり、すべての症状が黄連解毒湯で治せる、ということではありません。

黄連解毒湯の使用のポイント

4つすべて熱を冷ます生薬からなる方剤で、

炎症・かゆみ・出血を抑える目的で使う漢方薬の基本処方となっています。

熱実証タイプ、体力がしっかりあり、のぼせ傾向、赤ら顔、イライラしている傾向がある人に適します。

 

熱証(実熱)の症状のときに使える、というのは、

清熱薬として、おもに炎症症状(皮膚炎、口内炎、急性胃炎、充血、出血症状など)はもちろん、

それだけではなくて、

脳の充血、自律神経系の興奮が亢進している状態もまた、熱症状と捉えることができますので

興奮状態を鎮静化する目的でも使われます。

いらいら、怒りっぽい、のぼせ、顔面紅潮、目の充血、血圧上昇など、頭に血がのぼっている感じのときです。

不眠に対する黄連解毒湯

  • 頭が冴えて眠れない
  • 枕元で本を読むと、その内容にのめり込んでしまい、眠くならない
  • 日中の興奮(いらいら、怒り)を夜まで引きずって眠れない

などに対して、黄連解毒湯が睡眠作用を示すということではなくて、

あくまでも清熱作用で鎮静化するというイメージで、黄連解毒湯を用います。

二日酔いに対する黄連解毒湯

黄連解毒湯を二日酔いに使う場合は、

症状としては、飲酒による胃のむかつき、悪心、嘔吐がみられるときに適します。

ほとんどのアルコールは温性~熱性の飲み物です。飲酒過多になると、体に熱が生じます。

熱の影響が胃におよんだとき、胃炎を起こしやすい状態になります。

機能低下した胃は、飲食物を下へ送ることができなくなり、胃気上逆というかたちで、悪心・嘔吐が起こります。

熱の影響が腸の働きにまで及ぶと、水分の吸収が追い付かず、下痢しやすくなります。

熱が「心」に及ぶと、動悸やのぼせ、または顔が赤くなります。

このような体に生じた熱が原因による二日酔いの症状に黄連解毒湯が応用されます。

「黄連解毒湯」と「三黄瀉心湯」の違い

黄連解毒湯と良く似た処方で、三黄瀉心湯(さんおうしゃしんとう)があります。

黄連解毒湯 = 黄連・黄芩・黄柏・山梔子

三黄瀉心湯 = 黄連・黄芩・大黄

黄連解毒湯の「黄柏・山梔子」が「大黄」に入れ替わると三黄瀉心湯です。

大黄の含む三黄瀉心湯の特徴について

黄連解毒湯の副作用・注意点

  • 寒性(冷やす作用)が強いので、単独では熱証以外には用いられません。
  • 頓服で用いても構いません。
  • 出血性の疾患の時は冷やして服用します。
  • まれに山梔子で下痢を起こすことがあります。
  • 「黄連湯」(おうれんとう)というよく似た方剤がありますが、生薬の構成が異なるので注意してください。
  • 腸の熱による便秘のときには、大黄を含む承気湯類を検討します。
  • 四物湯」と合方すると「温清飲」(うんせいいん)という方剤名になります。
  • 用法用量や使用上の注意は、医師・薬剤師の指示、または添付文書の説明を守ってください。

 

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