炙甘草湯(しゃかんぞうとう):SKZT

心気陰両虚に使われる方剤。

動悸・息切れに対する代表処方で、別名が復脈湯(ふくみゃくとう)

適応症の中に、不整脈や心不全などがありますが、なにも特殊な生薬が配合されているわけではありません。

また、炙甘草(しゃかんぞう)とは甘草を炙(あぶ)った、または炒めたものですが、炙甘草湯の中の甘草だけが、特別な方法で炙られたわけでもなく、他の方剤でも炙甘草は使われます。

炙甘草湯の出典

傷寒論・金匱要略(3世紀)

炙甘草を構成する生薬

  • 炙甘草(シャカンゾウ)
  • 人参(ニンジン)
  • 阿膠(アキョウ)
  • 生姜(ショウキョウ)
  • 桂枝(ケイシ)または桂皮(ケイヒ)
  • 麦門冬(バクモンドウ)
  • 麻子仁(マシニン)
  • 地黄(ジオウ)
  • 大棗(タイソウ)

炙甘草湯の各生薬のはたらき

「炙甘草湯」における各生薬の主なはたらきをまとめますと、

炙甘草 → 心の気を補う
地黄 → 心の血を補う
麦門冬 → 心を潤す
阿膠・麦門冬 → 肺を潤す
麻子仁 → 腸を潤す
炙甘草・人参・大棗 → 陰液を補う
桂枝・生姜 → 気血を巡らせる

全体をみると、「潤い不足」を治したいという構成であることが分かると思います。

よって、炙甘草湯が適しているのは、

長い期間、病気を患ったとき、または常に体に無理をして仕事をしている人で、体力・気力とともに、水分や血(けつ)も消耗した状態、

気陰両虚という状態です。

気と陰液の不足が、心や肺(上焦)に症状としてでると、動悸、不整脈、息切れ、(乾いた)咳となります。

陰液(潤い)の不足ということで、のぼせ、ほてり、口の乾燥、皮膚の乾燥、便秘を伴うことがあります。

 

甘草を炙甘草にすることで補気作用が強まるとされています。

炙甘草は心気虚に対して効果があり、この方剤の主薬となっています。

炙甘草湯のポイントまとめ

体力の衰えがあるときの、動悸・息切れに使われます。

身体を潤す(滋潤)作用のある生薬が多く含まれていますので、身体に潤いが少なく皮膚が乾燥、口渇などがある人の心臓疾患に使われます。

便秘傾向の人に適します。

西洋薬の抗不整脈薬のような使い方ではなく、気と陰液を補充するために、ある期間続けて服用していく処方です。

炙甘草湯の適応症状

不整脈、動悸、軽度の心不全、心臓神経症

息切れ、乾いた咳

肺気腫、気管支喘息、慢性気管支炎

甲状腺機能亢進

貧血症

  • 保険適応外の症状を含みます。
  • 上記の症状に応用が可能という意味であり、すべての症状が炙甘草湯で治せる、ということではありません。

炙甘草湯の注意点

甘草の量が多めなので、偽アルドステロン症の副作用に気をつけてください。

地黄による胃腸障害に注意が必要です。

胃がもたれる、食欲が落ちる、下痢するなどのときは服用を控えた方がいいでしょう。

甘草が単味の「甘草湯」(かんぞうとう)とは、全く適応が異なりますので注意して下さい。

  • 用法用量や使用上の注意は、医師・薬剤師の指示、または添付文書の説明を守ってください。

 

  関連コンテンツ

スポンサーリンク